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太陽神のOS

先日SunMicrosystems社のSolarisオペレーティングシステムを入手しました。
SolarisはSunMicrosystems社のsparc32bit/64bitアーキテクチャ上で動作するOSですが、
intel80386アーキテクチャ互換チップを搭載したマシンでも動作します。
商用UNIXというと高額なライセンス料を支払って、高価な保守契約を結んで運用するのが普通ですが
Solarisに関しては、個人レベルでの研究開発、教育目的での使用に限り1CPUシステム用のSolarisが
CD-ROMメディア代のみで無償ライセンスされています。
CD-ROM代は1万円程度です。私はLinuxのパッケージ版を購入しましたがこれも同額でした。
当初はLinuxでMotifプログラミングの勉強を行おうと考えていたのですが、
パッケージ版購入の最大の目的であったATOK XのMotifとの相性の悪さからSolarisの導入を決定しました。
(私はATOK信者です。Windows、Macintosh双方にATOKを導入しています)
SolarisにはATOKが標準でバンドルされています。
さらにLinuxのような"UNIXLike"なOSでは無く、本物のUNIXなので安心してMotifの世界に浸ることができます。



最も美しく先進的なGUI
Solarisの素晴らしいデスクトップ環境CDEです。
全てが美しいMotifツールキットを使って作られています。
右を見ても左を見てもMotifです。
初めて私のマシンでCDEが立ち上がった時など絶頂すら覚えました。

CDEの画面を掲示します。
画面下部に見えるのがDockと呼ばれるツールバーです。
GUIオペレーションに必要な機能は全てDockに集約されています。

ふと思ったのですが、この画面。非常にMacOSXに似ています。
画面下部に表示されているDock、右端に配置されたごみ箱
ボタンの機能もほぼCDEのDockと同等です。
また、ファイルマネージャの形状や操作性も非常に良く似ています

WindowsがMacOSの模写をしたようにMacOSXはCDEを模写したのでしょう。
良い物が良い物を模写してさらに良くなって行くのは素晴らしい事です。

CDEの素晴らしさは美しいビットマップフォントにも当てはまります。
しっかりとした輪郭を持ち、美しく均整の取れたフォントは誰の目にも優しく見やすいものです。
OSXを初めて使った時は一瞬、私のド近眼がさらに悪化したかと思いました。
アンチエイリアスのつもりでしょうが、手ブレピンボケ写真並のクオリティーです。
さらに、手ブレピンボケ機能(アンチエイリアス)をOFFにすると、
ガダガタで判読不能な位までフォントが崩れた無惨な表示になってしまいます。
スクリーンフォント位はビットマップフォントを使うべきではないでしょうか



CDE
CDE
MacOSX
MacOSX
不満の解消

少しCDEを操作しているうちにある事に気づきました。

右図に示しますが、ボタンやスクロールバーが薄いのです。(fig1)
Motifの美しさを台無しにしてしまっています。
この事実に気づいた瞬間、私は信仰する神に裏切られたかの如きショックを受けました。

しかしながらこの問題はMotifのマニュアルを参照する事で解決できました。
リソースに以下の指定を加えるだけです。
*enableEtchedInMenu: False
*shadowThickness: 2

このたった2行の魔法をXWindowSystemに唱えるだけで
Motifは元の美しく静かで質感溢れる外観を取り戻します。(fig2)

近年のGUIを見て思うのですが、
GUIがフィーリングを失い、どんどん平坦で無表情になって来ている傾向があります。
Microsoft社のOfficeXPやVisualStudio.NETに至ってはボタン類が完全に平面です。
Motif/CDEにもその傾向がある事を私は非常に残念に思います。
さらにSunは次世代SolarisでGnome環境の搭載を予定しているようですが、
私はGTK独特のあの安っぽさと描画の遅さに耐えられません。(ボタンの挙動は良いですが)



fig3
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fig4
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消えゆく第2のGUI
Solarisのログインマネージャにて"OpenWindows"という環境を選択する事が出来ます。
私もデフォルトでCDEが立ち上がるのでログインマネージャのメニューをクリックするまで
その存在にすら気が付きませんでした。
OpenWindowsセッションを開始するとまず、蒼く晴れ渡った画面に
                将来のバージョンでは OpenWindows 環境は
                         サポートされなくなります。
            CDE(共通デスクトップ環境)に移行することをお勧めします。

なんとも悲しげな悲壮感漂うメッセージが表示されます(fig3)

OpenWindowsの開発者は手塩に掛けて育て上げたOpenWindowsの打ち切りが決まり
このメッセージを表示するコードを書いた時、どんな気持ちだったのでしょうか。
ほの暗い深夜のオフィスでエディタに向かって最期のメッセージを打ち込む
最期のプログラマの寂しげな後ろ姿が目に浮かび、私は目頭が熱くなりました。

メッセージを抜けると真っ青な画面が広がります。
画面にはATOKのアイコンとゴミ箱しか表示されていません。
一瞬戸惑いましたが、twmのオペレーションのように右ボタンを押すとメニューが出てきました。
平坦な独特のウイジェットを使用しているようで
Motif程の衝撃は受けませんでしたが、丸く角の取れたボタンやメニューに
昔のMacがそうであったように誰にでも見やすく親しみやすいGUIの設計理念を感じました。
ユーティリティーもあまり無く、やはり時代に取り残されてしまった環境のようですが、
しばらく操作しているうちにインスピレーションが浮かびxsnowをインストールしました。
xsnowというのはXWindowSystemの画面上に雪を降らせるアプリケーションです。
ウインドウ上部や画面下部に雪が積もり
背景にはヒマラヤ杉(ラインアートでショボいですが)が表示され、
サンタクロースがトナカイを引き連れてルートウインドウを駆け回るジョークソフトです。
xsnowを導入したOpenWindowsの画面を右図に示します。(fig4)

どうでしょうか?
これ程xsnowが似合うデスクトップ環境は他には無いと思います。
CDEやKDE、Gnomeでも試しましたがOpenWindowsが最もベストマッチでした。
プログラミングに煮詰まった時、OpenWindowsを立ち上げ、xsnowを降らせ
xeyesの視線を感じながらゆっくりと資料を読み返せばきっと
最良の結果を導き出せると思います。
まさに究極の癒し系デスクトップ環境です。
これからも大切に愛用して行きたいと思います。



fig3
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