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グラフィカルユーザインタフェイス

グラフィカルユーザインタフェイス(GUI)です。
恐らく、一般の方でコンソールにコマンドを投入しながら運用するようなOSを家庭でお使いの方は居ないでしょう。
一部のマニアまたはプロフェッショナルの現場"以外"でのユーザと計算機用OSの接点、それがGUIです。
マウスの矢印を使い、プッシュボタンで選択肢を選び計算機に安全に、直感的に命令を与える、それがGUIです。
25行x80桁のテキスト画面は操作する者を選びます。
視力が弱った老人にあの細かい文字を識別すのは無理があります。
幼児に「segmentation fault」、「coredump」等のメッセージを見せても理解できないでしょう。
だからこそ直感的なGUIがあるのです。全ての人が平等に電子計算機と触れ合う為に。

私はGUIの価値は"プッシュボタン"で決まると考えています。
ここで、数あるOSの中から私が準備可能なOSの"プッシュボタン"の例を列挙します。


漢字Talk 7.5

半透明PCで有名なApple computer社のオペレーティングシステムです。
現在の最新版から数えて3世代前のアーキテクチャとなります。
ご覧の通りただの黒枠囲みの矩形領域に文字が表示されています。
マウスのボタンを押下すると白黒反転します。
いわゆる"2D"(二次元)です。


KT 7.5.3
KT 7.5.3
Windows NT 5.0
Microsoft社のオペレーティングシステムです。
上記の漢字Talkと比べるとかなり立体感があります。
押したときのストロークも深く、確実に"押した"という実感があります。
押した時に微妙にボタンの文字列も奥に向かって凹む芸の細かさです。
開発者の"押し心地"への並ならぬこだわりが伝わってきますね。
私が初めてWindowsを触った時この押し心地にかなりの衝撃を受けました。
漢字Talkで純粋培養されてましたからね。
ただ一つ難点を言えばボタンの内周の黒い点線でしょう。
凹んだ場合に線と文字の幅が詰まり、非常に見苦しくなります。


Windows 2000
Windows 2000
MacOS8.1
Apple computer社のオペレーティングシステムです。
漢字Talkの次世代版に当たります。
マルチスレッドへの対応、USBのサポート等大幅な進化を遂げました。
ボタンも大幅に変化しご覧のようにWindowsライクな立体的なデザインになりました。
残念ながら押し心地は今ひとつです。
確かに凹みますが文字列は凹みませんし、白黒反転の名残も残っています。
丁度、ゴム風船を押しているような感触でしょうか?
Windowsのような明確な手応えはありません。



MacOS 8.1
MacOS 8.1
Athena Widget
UNIX又はそのクローンで動作するX11ウインドウシステムの標準的なGUIです。
外見は"四角い漢字Talk"と言ったところでしょうか?
しかし、押し心地は全く違います。
白黒反転なのですが確実に凹んだという手応えを得る事ができます。
ギミック的にはボタンの外周が小さくなるだけですが効果は抜群です。
ボタンは素晴らしいのですが、
ボタン以外の全てのパーツが白黒なので非常に味気ないGUIです。
3ボタンマウスをフルに使う操作性も慣れない人には敷居の高い物になっています。


Xaw
Xaw
MacOSX
AppleComputer社の最新のOSです。
内部はNeXT社のNeXTStepがベースとなっているようです。
非常に高スペックなマシンを要求するOSで
私のiBook(PowerPC 800MHz、RAM512MB)では非常に動作が遅く、
はっきり言って短気な私には実用に程遠い動作速度です。
GUIは"Aqua"と呼ばれ、一部のMacintosh愛好家から
"宝石のようなGUI"などと熱烈な賞賛を受けているようです。
非常に残念ながら、半透明とアンチエイリアスを多用した画面は
私の目には非常に見づらく不快な物になってしまいました。
背景の趣味の悪い横縞も何とかしてほしいですね。不気味極まりないです。
肝心のボタンですが、物の見事に逆進化してしまいました。
ボタンを押すと青くボタンが変色します。
初めから青いボタンは青いまま、押しているという実感は皆無です。
Aqua(水)というよりは柔軟性の無い硬質プラスチックでしょう。



MacOS X
MacOS X
Windows XP
Microsoft社最新のオペレーティングシステムです。
"Luna"と呼ばれる非常にアメリカンテイストな極彩色のGUIを搭載しています。
残念ながらMacOSXと同じくボタンは逆進化してしまいました。
平坦なボタンは押しても僅かしか凹みません。
従来のWindowsのような押し心地へのこだわりは微塵も感じられません。
GUI設計者が別人になってしまったのでしょうか?


Windows XP
Windows XP
BeOS
恐ろしいほど先進的な機能を搭載したOSとして登場しました。
元々はPowerPCベースの独自仕様マシン"BeBox"用のOSでしたが、
1998年にIntelベースのコンピュータで動作するバージョンが登場、一躍脚光を浴びました。
日立製作所からBeOSを搭載したマシンも登場しましたが、商業的には失敗に終わったようです。
BeOSのGUIはMacOS8に良く似た輪郭の柔らかい3Dルックです。
ウインドウの端に寄せられたタイトルバーも非常にクールなデザインになっています。
しかしながらGUIウイジェットの操作感はお世辞にも良いとは言えません。
このボタンは豊かな3Dルックとは裏腹に全く凹みません。
押しても白黒反転するのみです。




BeOS
BeOS
Gimp Tooklit(GTK)
最近流行のUNIXライクなOS、Linuxでよく見かけるGUIです。
元来はグラフィックソフトウエアの"GIMP"を開発する為に作られたようですが
デスクトップ環境にも使われLinux界のスタンダードになているようです。
ボタンの方はWindowsライクなストロークの深いボタンを使っています
残念ながら文字までは気が回らなかったようで少々不満はありますが、
ストロークの深さは近年の平坦なGUIには無い物を持っています。



GTK
GTK
Qt
上記のGTKと双璧を成す近代X11用GUIのqtです。
私が最初にQtに出会ったのは1998年頃のsoftware design誌の
ウインドウマネージャ特集だったと記憶しています。
最近はスキン機能を搭載し、多種多様な外見を見せますが
最初はMicrosoft Windowsルック&フィールとMotifルック&フィールの2択から選択する事が出来ました。
挙動はMotifやMicrosoft Windowsを手本にしており、両者の良いところを取った形になっています。
非常に豊かなストロークを誇るqtのボタンはユーザに"押した"という行動を強烈にアピールし、
ウイジットの"コントラスト"を微調整出来る等、フィーリングに対する並ならぬこだわりを感じます。
非常に残念ながらスキン機能の台頭によりそのフィーリングは失われつつあります。



Qt
Qt
超漢字
携帯電話や洗濯機等でお馴染みtron仕様OSのPC用オペレーティングシステム、超漢字です。
私が最初に入手したのはB-Light/Vと呼ばれる超漢字の前身に当たるバージョンです。
驚異的なまでにコンパクトなOSで、起動時間は僅かに2秒足らず。
BIOSのSCSIデバイス検出が終わって画面が点滅したと思った次の瞬間には日本語が入力出来ます。
実身/化身に基づいた独自のファイルシステム(?)を使用しており
システム手帳をめくるような独特の操作感を持つOSです。
超漢字のGUIは輪郭の強いMacOSと言った所でしょうか?
私は見たことがありませんが"AMIGA/OS"に良く似ていると言う人も居ます。



超漢字
超漢字
Tk
スクリプト言語"Tcl"と連携して使われる事の多いGUIウイジェットのTkです。
非常に軽量なウイジットでMotifに似た外見を提供します。



Tk
Tk
OSF/Motif
私が出会った究極のGUIがMotifです。
商用UNIXの共通デスクトップ環境(CDE)に使われているGUIです。
私が初めてMotifに出会ったのは仕事でSunMicrosystems社のSolarisを使った
時でした。
Motifのコピーライトを参照すると、
IBM、DEC、HP、日立製作所、SunMicrosystems等世界の巨大企業の名が並んでいます。
近年OpenMotifという名で開発キットが無償公開されましたが、
既にGTKが普及してしまい、UNIXライクOSのデスクトップ環境を奪う事はできませんでした。
Motifその特筆すべき点はストロークの深さです。
ボタンを押すとボタンの周りが一気に陥没します。
もちろん文字列にも仕掛けが施されています。
Windows(XP以前)のGUI設計者はMotifを参考にして設計したのでしょうか?
スクロールバーやメニュー、あらゆる部品に立体感とフィーリングへのこだわりが感じられます。
デザインもシンプルながら非常に美しく洗練され、
ド派手さを追求したWindowsXPやMacOSXには無い世界観がそこにはあります。



motif
motif